大崎市の食品工場閉鎖に伴う不用品回収・買取レポート

食品工場

執筆者: 不用品買取㈱   佐藤拓(産業廃棄物処理施設技術管理者・廃棄物処理法管理士)

最終更新日: 2025年6月26日

記事カテゴリ: 工場不用品回収・買取事例

大崎市の産業マップ

宮城県大崎市の産業分布図。多くの製造業が地域経済を支えている

はじめに:地域経済を支えた工場の閉鎖と、未来への継承

2025年3月、宮城県大崎市で30年以上にわたり地域住民の食生活を支えてきた老舗の食品工場が、後継者不足と設備の老朽化を理由に、その長い歴史に幕を下ろしました。この工場は、地元産の米や野菜を使った惣菜や弁当を製造し、地域のスーパーや学校給食に提供することで、多くの人々の暮らしに貢献してきました。

工場の閉鎖は、経営者様にとって苦渋の決断であったと同時に、地域社会にとっても大きな損失です。しかし、この決断は、新たな未来への第一歩でもあります。工場閉鎖に伴う不用品回収と原状回復を適切に行い、資産価値を最大化することは、経営者様の新たなスタートを支援し、工場の跡地が地域社会で再び活用されるための重要なプロセスです。

本記事では、仙台不用品買取エコキューブが実際に手掛けた、この宮城県大崎市の食品工場閉鎖に伴う不用品回収・買取プロジェクトについて、具体的な作業内容、コスト削減効果、そして成功のポイントを、作業前後の写真とともに詳細にレポートします。この事例が、同様の課題を抱える全国の工場経営者様にとって、一助となれば幸いです。

第1章:プロジェクト概要とお客様の課題

1.1 お客様情報とご依頼の背景

•お客様:株式会社A食品様(仮名)

•所在地:宮城県大崎市

•事業内容:惣菜・弁当の製造販売

•工場規模:敷地面積 1,500坪、延床面積 800坪

•ご依頼内容:工場閉鎖に伴う、すべての設備・什器の回収・買取と、建物の原状回復

株式会社A食品様は、30年以上にわたり地域に根差した経営を続けてこられましたが、経営者様のご高齢と後継者不在により、事業譲渡ではなく工場の完全閉鎖を決断されました。工場はリース物件であり、契約に基づき、建物をスケルトン状態に戻す原状回復義務を負っていました。

1.2 お客様が抱えていた課題

経営者様は、工場閉鎖に関して以下の3つの大きな課題を抱えていました。

課題1:何から手をつけていいかわからない

•長年使用してきた多種多様な設備や什器を、どのように分別し、処分すればよいのか見当がつかない。

•原状回復工事と不用品回収を、どの業者に、どのように依頼すればよいのかわからない。

•産業廃棄物の処理やマニフェスト制度など、法的な手続きが複雑で不安。

課題2:コストに関する不安

•原状回復工事と不用品回収に、一体どれくらいの費用がかかるのか、見当がつかない。

•閉鎖に伴う退職金の支払いなど、多額の費用が発生するため、少しでもコストを抑えたい。

•価値のある設備や金属スクラップが、不当に安く買い叩かれるのではないかという懸念。

課題3:時間的な制約

•リース契約の解約日が迫っており、それまでにすべての作業を完了させる必要がある。

•経営者様ご自身も高齢であり、限られた時間と労力の中で、煩雑な作業を進めることに大きな負担を感じていた。

これらの課題に対し、当社は「ワンストップ対応によるトータルコストの削減と、お客様の負担軽減」を基本方針として、具体的な解決策を提案しました。

第2章:提案内容と作業計画

2.1 当社の提案:ワンストップ対応による価値最大化

当社は、お客様の課題を解決するため、以下の3点を柱とするワンストップサービスを提案しました。

提案1:不用品回収・買取・原状回復工事のワンストップ対応

•すべての作業を当社が一括で請け負うことで、お客様の業者選定や連絡調整の手間を完全に排除。

•解体作業と不用品搬出を連携させることで、作業効率を最大化し、工期を短縮。

•責任の所在を明確化し、プロジェクト全体の円滑な進行を保証。

提案2:資産価値の最大化によるコスト削減

•食品製造設備、ステンレス製品、金属スクラップなど、価値のある資産を専門知識に基づいて適正に査定し、高価買取。

•買取金額を原状回復工事費用や廃棄物処理費用から相殺することで、お客様の実質的な負担を大幅に削減。

•国内外の再販ネットワークを活用し、他社では買取が難しい設備も価値を見出す。

提案3:コンプライアンス遵守と環境配慮

•廃棄物処理法や建設リサイクル法などの関連法規を遵守し、マニフェストの発行・管理を徹底。

•廃棄物を徹底的に分別し、リサイクル率95%以上を目標とすることで、環境負荷を最小限に抑制。

•アスベストやPCBなどの有害物質の有無を事前に調査し、安全かつ適正に処理。

2.2 詳細な作業計画とスケジュール

お客様との綿密な打ち合わせに基づき、以下の作業計画とスケジュールを作成しました。

フェーズ期間主要作業内容成果物・目標
1. 現地調査・見積もり2日間– 設備・什器リストの作成<br>- 廃棄物量の推定<br>- 買取対象品の査定<br>- 原状回復工事範囲の確認– 詳細な見積書の提出<br>- 買取査定額の提示<br>- 作業工程表の提案
2. 契約・準備3日間– 契約締結<br>- 近隣への挨拶<br>- 安全対策の実施– 契約書<br>- マニフェスト準備
3. 買取対象品の搬出5日間– 再販価値の高い設備の丁寧な取り外し<br>- ステンレス製品の分別・搬出<br>- 金属スクラップの分別・搬出– 買取対象品の確定<br>- 買取金額の最終合意
4. 内部解体・廃棄物搬出10日間– 製造ラインの解体<br>- 天井・壁・床の解体<br>- 産業廃棄物の分別・搬出– マニフェストの発行<br>- リサイクル率95%達成
5. 原状回復仕上げ5日間– 床のコンクリート研磨<br>- 壁・天井の塗装<br>- 配線・配管の撤去跡補修– スケルトン状態への復旧
6. 最終確認・引き渡し1日間– お客様による最終確認<br>- 作業完了報告書の提出<br>- マニフェストの控えお渡し– プロジェクト完了
合計26日間

この計画に基づき、リース契約の解約日に間に合うよう、安全かつ効率的に作業を進めることをお約束しました。

第3章:作業前後の写真で見る現場の変化

百聞は一見に如かず。実際の作業現場がどのように変化したのか、作業前後の写真でご覧ください。

3.1 製造エリア:作業前

食品工場の製造エリア(作業前)

作業前の製造エリア。食品加工設備、コンベア、ステンレス製作業台などが所狭しと並んでいる

•状況説明:長年使用されてきた製造ライン、コンベア、充填機などが所狭しと並んでいます。床には油汚れが付着し、壁や天井も経年劣化が見られます。これらの設備は、一つ一つ手作業で解体し、買取対象品と廃棄物に分別する必要があります。

3.2 不用品回収・解体作業の様子

不用品回収・解体作業

専門スタッフによる丁寧な解体・搬出作業。安全性と効率性を両立

•作業説明:当社の専門スタッフが、安全性を最優先に、効率的な解体・搬出作業を実施しています。価値のあるステンレス製品は傷つけないよう丁寧に取り外し、金属スクラップは種類別に分別して搬出します。

3.3 製造エリア:作業後

工場内部(作業後)

作業後の工場内部。すべての設備が撤去され、清潔なスケルトン状態に復旧

•状況説明:すべての設備が撤去され、広々とした空間が戻りました。床は高圧洗浄と研磨により、長年の汚れが完全に除去されています。壁と天井も再塗装され、清潔な状態になっています。この状態で、貸主様に引き渡すことができました。

第4章:コスト削減と資産価値最大化の成果

本プロジェクトにおける、具体的なコスト削減効果と資産価値最大化の成果を以下に示します。

4.1 買取実績の詳細

お客様の資産価値を最大化するため、以下の品目を高価買取いたしました。

品目詳細買取価格(円)
1. 食品製造設備– 自動充填機(2010年製)<br>- トンネルフリーザー(2008年製)<br>- 業務用ミキサー(5台)1,200,000
2. ステンレス製品– ステンレス製タンク(3基)<br>- 作業台、シンク(15台)<br>- 配管、ダクト類2,500,000
3. 金属スクラップ– 鉄くず(約15トン)<br>- アルミくず(約2トン)<br>- 銅線(約500kg)800,000
4. その他– フォークリフト(2台)<br>- 業務用エアコン(5台)500,000
合計買取金額5,000,000

特に、ステンレス製品は相場価格の1.2倍で買い取るなど、専門業者ならではの査定力を発揮しました。また、他社では買取を断られた古い設備も、当社の海外再販ルートを活用することで価値を見出し、買取を実現しました。

4.2 最終的なコストの内訳

当初、お客様は他社から以下の見積もりを提示されていました。

他社の見積もり(個別依頼の場合)

•原状回復工事費用:1,200万円

•産業廃棄物処理費用:350万円

•合計費用:1,550万円

これに対し、当社のワンストップサービスをご利用いただいた結果、最終的なコストは以下のようになりました。

当社の実績

•原状回復工事費用:1,000万円(-200万円)

•産業廃棄物処理費用:200万円(-150万円)

•費用合計:1,200万円

•買取金額:-500万円

•お客様の最終的なご負担額:700万円

4.3 コスト削減効果のまとめ

•当初の見積もりとの比較:1,550万円 → 700万円

•コスト削減額:850万円

•コスト削減率:54.8%

この結果、お客様は当初の想定よりも850万円も費用を抑えることができ、その資金を従業員の退職金やご自身の新たな生活設計に充てることができたと、大変喜んでいただけました。

第5章:お客様の声とプロジェクト成功の要因

5.1 お客様からのメッセージ

「工場を閉めると決めたものの、何から手をつけていいか分からず、途方に暮れていました。そんな時、インターネットで仙台不用品買取エコキューブんを見つけ、相談させていただきました。

最初の電話から対応が非常に丁寧で、現地調査では専門的な視点から的確なアドバイスをいただき、安心してお任せできると確信しました。作業が始まってからも、進行状況を毎日報告してくださり、不安を感じることは一切ありませんでした。

何より驚いたのは、最終的な費用です。古い設備や鉄くずが、あんなに高い値段で売れるとは思ってもいませんでした。おかげで、想定していた半額以下の費用で、すべての作業を終えることができました。本当に感謝しています。

仙台不用品買取エコキューブさんにお願いして、本当によかったです。ありがとうございました。」

5.2 プロジェクト成功の要因分析

本プロジェクトが成功裏に完了し、お客様に高い満足を提供できた要因は、以下の3点に集約されると考えます。

要因1:早期段階での専門家への相談

•お客様が早い段階で当社にご相談くださったことで、最適な計画を立案し、十分な準備期間を確保することができました。

要因2:信頼に基づくパートナーシップ

•当社は単なる作業代行者としてではなく、お客様の課題解決に向けたパートナーとして、常に誠実な対応を心がけました。この信頼関係が、円滑なコミュニケーションと迅速な意思決定を可能にしました。

要因3:ワンストップサービスの総合力

•不用品回収・買取・原状回復工事をワンストップで提供できる当社の総合力が、コスト削減、工期短縮、品質向上といったすべての面で相乗効果を生み出しました。

結論:未来へつなぐための「最適な終わり方」

工場の閉鎖は、決してネガティブな終わりではありません。それは、長年の歴史に敬意を払い、次の世代へとバトンをつなぐための、重要な節目です。その節目を、いかに円滑に、そして経済的に乗り越えるかが、経営者様の未来を大きく左右します。

本事例で示したように、適切な専門業者をパートナーとして選定し、不用品回収と原状回復を戦略的に計画・実行することで、コストを大幅に削減し、隠れた資産価値を最大限に引き出すことが可能です。

仙台不用品買取エコキューブは、これからも地域社会に貢献された工場の「最適な終わり方」をプロデュースすることで、経営者様の新たなスタートを全力でサポートしてまいります。工場閉鎖や不用品回収に関するお悩みをお持ちの経営者様は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。


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